3時止まりの時計塔

異空間化した時計塔を舞台にした

風景絵(+時々アクション)メインのダンジョン探索系イラスト群

更新順≠時系列

反応がある限り更新し、やる気がなくなれば未完でも終了します。

時計塔

53年前から時間が止まってしまった

砂漠にある時計塔。

塔の周りはずっと夕暮れのまま。

その昔、魔法使いが住んでいたとされる。

中は異空間と化しており、

部屋同士の繋がりが常に変化していて

一度入ると出口を探すのが困難。

塔の主

男性/年齢不詳/179cm

その昔、廃墟だった塔に住み着いた黒魔法使い。

塔の中を自分の庭として異空間化させ、

機械人形や機械蟲たちを造った。

理由は「暇だったから」

変わったものが好きで、極度の気紛れ。

魔術実験のためなら他人の犠牲は厭わない。

塔を造ってすぐ何者かに殺されてしまった。

 

赤錆あかさび

中性/22歳/171cm

時計塔の探索者。

夕方に頭痛が起きるので

時計を壊しに塔にやってきた。

暴力的で無計画。

動くものはとりあえず撃ってから考える。

武器は魔力弾銃を二丁とナイフ。

完全に道に迷っているが

歩いていればなんとかなると思ってる。

水銀みずがね

男性/29歳/183cm

時計塔の探索者。

塔の主と因縁があり、

復讐のためにやってきた。

塔の6階を拠点にして上階への道を探している。

性格は冷淡で合理主義。

機械たちとは仲が悪い。

蟲飼い

男性型/容姿27歳/179cm

塔の主が自分の代理として造った

機械人形だが未完成。

頭のネジを探して人形を解体したり、

機械蟲をペットにしたりしている。

塔の中を自由に移動出来る。

機械人形たちの住む時計塔は、

53年前から3時で止まってしまった。

それからというもの、

時計塔の周りはずっと夕暮れ手前で止まっている。

ある旅人は夕日を見てると頭痛を起こすので、

時計をすべく時計塔にやって来たのだが。

旅人が入口の扉を開くと、

鐘の音が時計塔の中を鳴り渡る。

一つの歯車がガタンと動くと隣々に伝わって、

やがて上から不協和音が降ってきた。

時計塔の中は不可思議で、真っ直ぐ進んでいるはずなのに、

振り子のように行ったり来たり

同じ所をぐるぐる戻ってきてしまう。

その砂時計は砂が詰まって長らく落ちなかったが、旅人によってやっと砂が流れ落ちた。

ただし戻ることもないけれど。

ガラクタ置き場のような場所に、

寄せ集めで作られたオブジェがあった。

けれどよく見てみれば、

虫が居着いているのだから巣かもしれない。

大抵こういうのは厄介なので

手を出さないようにしようと、

旅人は撃った後に思った。

仕留め損なったガラクタ虫が逃げて行くのを追いかけて、

花畑に迷い込んでしまった。

花の香りで目眩がすると、

入口がどこだかわからなくなっていく。

夢が混ざりながらも花時計まで来たところ、

虫の飼い主と思しき人影がいた。

お茶会の仕方が分からないがお茶会をしようと、男は言う。

花の香りを振り払い、旅人は銃弾で断った。

旅人があっという間にお茶会をお開きにして、

薄汚れた舞台裏から降りていく主催を追いかけていく。

 

規則に決められた時計の部屋は、

ルールに則ったこと以外をすると、仕切り直しになって出られないが、

決まり事さえ守れば時間の許す限り何も起きはしない。

蟲飼いの男は自分の時計部屋を作りたいのでガラクタを集めているが、

気が付くと他の人形達に持っていかれて中々完成しない。

誰かに見てもらいたいけど、壊されやしないかとも心配になる。

 

針から落ちた蟲飼いの男は、

地下水路で目を覚ました。

腕やら脚やら壊れてしまったが、

そのうち直せばいいだろう。

塔の主に作られた人形たちは、その部屋を隠れ家にして遊んでいた。

塔の主に作られた人形たちは、その部屋を隠れ家にして遊んでいた。

しかし旅人がやって来て端から壊してしまい、

みんな一斉に逃げ出した。

塔の中では前に進んでいたら後ろに出てしまうこともあるが、

その水時計の水が零れると、上から雨が降ってきた。

だからここ53年は鳴いたところを誰も聞いていない。

昼と夜の0時にだけ鳥の姿に変わる、カラクリ仕掛けの鳥時計。

人形達から牢番と揶揄されている男は昔、

塔の主の機嫌を損ねた呪いにより日の元に出られなくなり、

ずっと牢の中で長い時間を過ごしている。

銀髪の旅人が上階に進めず困っていると、

銀金物が大好きな人形夫人がやって来て、丁寧に道を教えてくれた。

しばらく後ろを付いて来たが、礼を言うと残念そうに消えた。

手入れのされていない花庭は、

誰にも見られることなく錆びて朽ちかけていた。

長年ぶりに来た客も、

残念ながら興味ないどころか散らせてしまうのだから、

いたしかたない。

花時計の真下には蔦が無造作に絡まっており、

主が放っておいた間に少しずつ伸びて道になったが、

当然ながらどこに繋がっているかは運次第。

作り途中で放棄された時計の裏側は、

表と違って道は一つしかない。

迷うことはないがそれ以外の抜け道もない。

エントランスに飾られるはずだった女神像の機械人形は、

美しくなるために他の機械から部品を横取りしたために、

廃棄路に棄てられてしまった。

それでも懲りずに部品を見つければ、壊して集め続けている。

塔の中を随分と歩いたが、

昇降機械まで止まっているせいで上の階に上がる道がない。

代わりの階段も見つからないのは、無いのか、

それとも見えてないのか。

どこかおかしいことに、気付いていないのかもしれない

針が0時のときに音を奏でる時計も動かず、

いつも歌っていた子天使たちも、

長く休憩し過ぎて歌詞も忘れてしまった。

茨で閉ざされた道の奥には墓所があり、

そこには時間も埋葬されているという。

塔の深部には墓所があった。

旅人には誰の墓かも知らなかったが、

塔の主の墓なのだともう一人は言った。

 

墓所を出た右回りと左回りで一周回れない道で、

片方は用事が済んだので下へ行くと言い、

もう片方は上へ行くと言った。

作り物の光に照らされても、日時計の影は一向に動かない。

真珠色の時計に付いていた魚飾りは、

部屋の中をずっとぐるぐるしていたせいで、

きらびやかだった装飾もどんどん剥がれて

ついに骨だけになってしまった。

 

塔の上階に近づく程、幻想が濃くなり、

この箱庭を作った誰かが、

絵本のように眺めているような気がする。

螺子巻き時計は出来た日から今に至るまでを記録していて、

螺子を回すと過去の幻影を見せてくれる。

霧が霞んで辿り着いた庭園で、男は言った。

「さてさて初めましてのお客人。いかが楽しんでおるかの?

儂はこの時計塔の主であって、この城そのものでもある。

半世紀ほど前に体は無くなってしまったが、

時の間と夢の中で、ぐるりぐるりと繰り返しておる。」

長く朽ちていた時計塔に、

変わり者な魔法使いの男が住み着いた。

男はまず自分の部屋を造り、

そうすると次から次と凝りたくなってくる。

脆くて割れやすい幻なのだが、

現実も大差ないのだから同じようなものだ。

時計塔に黒魔法使いの男がやって来て長らく経ち、

城は完成した。

せっかく凝って造ったのだからお客人は大歓迎なのだが、

部屋を増やし過ぎたせいで

繋ぎ目がおざなりなので自己責任である。

主は時計塔の周りに暗闇が来ないよう、壁を作ったが、

暗闇は人の姿に化けて塔に入ってきた。

主への長きに渡る怨嗟が寄り集まって出来たそれは、塔を侵食し始めた。

 

そして塔の主への憎悪で出来た暗闇は、瞬く間に塔に広がっていく。

3時で止まった時計塔の最上階の奥には、

記録回廊がある。

この塔に住み着いた最初の旅人が、

ここに記憶を閉じ込めて火を付けた。

そして燃え尽きることはなく、断片だけが残っている。

塔の中央には小さな懐中時計があったが、

時計は止まっていた。

いつからあったのか分からないが、

文字盤には53年前の日付があった。

壊すか直すかといったら、壊す一択だった。

(C) 2005-2017 OyasumiSumika.

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